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粉体塗料塗装特集2014 粉体市場が拡大、供給再構築の流れ DNT久保孝ペ関ペ

发布时间:2016-02-28 16:43

粉体塗料の供給体制の見直しが迫られている。国内の粉体塗料需要は急成長とは言わないまでも確実に増え続けている中で、繁忙期には塗料メーカーの生産キャパを超える状況になっている。そのため、ときには納期に2~3カ月かかってしまう事態に陥っている。結果として、ユーザーの生産ラインに支障をきたしたり、溶剤塗装から粉体塗装への切り替えチャンスをロスしたりして「やっぱり粉体塗料は使いづらい」とのマイナスイメージが定着しかねない。社会的に環境配慮意識が高まる追い風の中で、粉体塗料市場の更なる拡大には供給側の体制整備が大きなカギとなっている。

昨年秋口より粉体塗料需要が旺盛となっている。環境配慮や1回で厚膜が確保できる作業性、塗料の回収再利用などの特徴から、溶剤塗装から粉体塗装への切り替えは広がっている。量産品を塗装するのであればそうした効果は更に高まるため、「塗装ラインを新たに立ち上げる際には、まず粉体塗装を考えることが多い」状況だ。


国内は景気回復傾向が見られ、粉体塗料ユーザーである製造業の稼働率は上がっている。粉体塗装の普及率が高い鋼製家具分野では、大手メーカーが粉体塗装ラインを増設したり、溶剤塗装から粉体塗装へラインの切り替えを行ったりして需要が増えている。
また、数年前より太陽光発電関連が好調となっており、架台やパワーコンディショナーの生産が増えている。ただ、特需的に増えた分野と言え、太陽光発電の買取制度の見直しもあり、今後の生産は減少することが予想される。


その他では農機具や配電盤、フェンスなど建築関連でも粉体塗料需要は堅調に推移している。
特に今年は4月に消費増税前の駆け込み需要があり、例年以上に納期対応に問題が生じた。塗装業者や販売店からは「塗料メーカーからは納期に2~3カ月かかると言われ、現場の生産性に影響してしまう」「新たな調色品を対応してもらえなかった」と不満の声が上がった。市場では5月以降も好調となっており、例年落ち込みが見られる夏場の需要も全体的にはそれほどの減速感はなく推移している。塗料メーカーの出荷数量としては昨年比で6~8%の増加と見られる。


そのため塗料メーカーの製造工場はフル稼働状態が続いている。工場は通常稼働では追い付かず、残業や休日出勤はもちろん、2直体制を組むなどして生産性を上げている。それでも「既存ユーザーへの対応で手一杯で、迷惑をかけるため新規ユーザーへの営業展開は積極的にはできない。それでも案件の引き合いは多い」(塗料メーカー)という。逆に言うと、「生産キャパがもっとあればその分売れる」ということであり、需要と供給のバランスが合っていない状況になりつつある。


国内の粉体塗料市場は今後も拡大するとの見方が業界関係者の一致した考え。特に2020年に開催される東京オリンピックに向けて、関連施設や建物の建設、インフラ整備が進む中で、粉体塗料の需要増が期待されている。こうした状況下、塗料メーカーでは供給体制の再構築の動きが出ている。

DNTと久保孝ペ関ペ
製造事業の合弁会社を設立

今年7月、大日本塗料と関西ペイントの子会社である久保孝ペイントが粉体塗料の製造事業を行う合弁会社「ジャパンパウダー塗料製造」を設立すると発表した。他業界に比べて連携や統合が少ない塗料業界において、粉体塗料製造という限定であるものの、今回の3社連携のインパクトは大きい。
今回決まった粉体塗料製造の合弁会社設立は、大日本塗料の小牧工場と久保孝ペイントの兵庫工場(メプコ)の2工場を有効活用することで、生産効率の向上、それに伴う生産コスト削減を狙っている。


連携で効果が期待できると言うのには、溶剤塗料と違い粉体塗料は製造工程が多いことが起因する。一般的に粉体塗料の基本製造は①原料をミキサーで混合する②エクストルーダーで加熱しながら混練、冷却しながら粉砕機で粗粉砕する③粗粉砕されたフレーク状の半製品を粉砕機で細かく粉砕し分級する―といった工程を経る。小ロットでも大ロットでもロットサイズに関係なくこの製造工程を組むため、小ロットでは効率は良くないと言える。
更に手間がかかるのが清掃時間で、例えば粉砕ラインにおいて、粉体塗料の同系色相であれば粉の吸い上げ洗浄で済むが、色相が異なるときには水洗いをしなければならず清掃時間は長くかかってしまう。そのため、今回の合弁会社設立により、粉体塗料の樹脂系や同系の色相をある程度まとめて製造することで、生産コスト削減に大きな効果を期待する。


また、設備コストがかかる粉体製造ラインの設備投資についても、合弁会社で行うことにより効率的な投資が可能となる。当面は製造のみを合同で行うとしており、原料購買や開発は従来通り別々に行う。配合についても互いにクローズとする。そのため、市場で3社が競合する姿に変わりはない。ただ、「将来的には開発を含めてどのような連携の形になるかは未定」(大日本塗料執行役員今市伸浩氏)と製造にとどまらない提携が予想される。

ナトコ、中国拠点からの輸入開始

海外拠点からの供給を行うメーカーも出ている。ナトコは昨年設立した中国山東省の工場からの輸入、国内販売を8月からスタートさせた。群馬工場だけでなく中国拠点からの供給体制を整備することで生産能力を上げて販売力を高めていく意向。
これまで国内市場に対しては群馬工場からの供給のみであった。繁忙期には期間限定で工場を24時間させたり、設備的にも部分的な機械増強を図ったりして生産性を上げていた。しかし、そうした対応策では限界があり、更に粉体塗料事業を拡大させていくために中国工場からの輸入に踏み切った。ロットやユーザーに合わせたりして、国内と中国の2工場で効率的に製造し競争力を高めていく方針だ。


神東塗料でも千葉工場の稼働率は高まっており、生産キャパシティは限界に近づきつつある。そのため生産の効率化を図るとともに、海外のグループ工場で生産し国内に持ってくることも検討しており、運送コストや品質管理などを調査している。
トウペでも好調な販売量を示す粉体塗料事業の課題となっているのが生産体制の見直し。現在、同社ではメインの三重工場と茨城工場の2拠点で粉体塗料を製造しているが、製造設備の老朽化が進んでいる。


今後の展開として、「現行設備の更新や海外生産など幅広く、生産体制の強化に向けた検討を進めていくとともに、販売体制も含めた粉体事業の方向性を打ち出すことが必要」との考え。
一方、川上塗料は今春、製造ラインの増強を図った。これにより生産能力は2割ほどアップし、消費増税前の駆け込み需要においても納期を遅らせることなく供給できたという。

海外拠点からの輸入が本命か

数字的に見ても、国内粉体塗料市場は拡大を示している。経済産業省統計によると、平成25年度の粉体塗料生産数量は前年比9.4%増の3万5,801トンとなった。今後の動きとしても、急激とはいかないまでも確実に増加していくことが予想される。
その中で各塗料メーカーがどのように粉体塗料事業を捉え戦略を進めていくのか。前述したメーカー間の連携や海外工場からの輸入という選択は、国内粉体塗料事業を重点事業と位置付けての方向性を示している。


各メーカーの工場設備は老朽化を迎えており、部分改善では根本的な解決方法とは言えず大きな転換が求められている。とはいえ、国内に新たな粉体塗料製造工場を建設するのは現実的ではない。新たに土地を確保し建物を建て製造設備を整えるとなると大きな投資となり、粉体塗料の市場価格、減価償却を考慮すると厳しい事業戦略と考えられる。


そのため今後は海外調達が増えてくるのではないか。自社で海外に粉体塗料製造拠点を持っていなくても、現地メーカーのOEMという形で国内に輸入することも可能だ。品質管理やユーザー承認、輸送コスト、納期など課題はあるものの、例えば量がまとまれば海外製造といった具合にすみ分けることで、国内に工場を新設するよりは事業戦略として現実的と見られる。
また、国内メーカーの事業統廃合の可能性もないとは言えない。製造の手間やコストがかかる粉体塗料事業を廃止し、他事業に注力する方針を打ち出すメーカーが現れてもおかしくはない。あるメーカーからは「生産キャパを上げるには既存の工場を買うのが、一番効率が良い。工場を2つ持つことでリスク分散にもなる」と本音をもらす。粉体塗料市場がどのように伸びていくのか、今はその過渡期に来ている。

粉体導入に活用
ものづくり補助金

国や自治体が設けている金融支援制度を活用して、塗装業者が粉体塗装機や設備を導入しているケースが目立っている。従来溶剤塗装のみしか行っていなかった塗装業者にとっては新たに粉体塗装を始めるきっかけとして有効となっている。
そこで、国が行っている「平成25年度中小企業小規模事業者ものづくり商業サービス革新事業」で採択された中から粉体塗装関連をまとめてみると、1次公募1次締切では塗料塗装関連の採択件数が43件あり、その中で粉体塗装関連は2件であった。1次公募2次締切では89件中5件、2次公募では59件中3件であった。


○1次公募1次締切対象2件。
末広電器(群馬県)「環境と健康に配慮した新型粉体塗装設備導入による防護柵の安定供給」
川熱(東京都)「超長期防錆力で貢献するため試作開発自動粉体塗装ラインを新設」
○1次公募2次締切対象5件。
森下鉄工所(茨城県)「粉体塗装ラインの開設による製品の耐環境品質の飛躍的向上」
元郷塗装工業(埼玉県)「環境に配慮した省エネ型粉体塗装焼き付けラインの構築」
大雄塗装(神奈川県)「粉体塗装用『水切り乾燥炉』および『高温焼付乾燥炉』の更新」
エヌエスティー(静岡県)「粉体処理用プラズマ表面処理装置の開発」
三和(広島県)「粉体塗装設備導入による内製化推進計画」
○2次公募締切対象3件。
セイキョウ(茨城県)「自動分多塗装ラインの構築による環境配慮化と製品供給の効率化」
星秀社(栃木県)「静電塗装による粉体と溶剤の可変ライン構築を核とする新たな高品質塗装体系の開発」
大伝(山口県)「粉体塗装ラインの構築による製造環境の改善と生産性の向上」 



本文编号:32129

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